ギャラリー索引漆物語技法組合ギャラリーニュース

最近の高岡漆工芸デザインの流れ ―黒川雅之―



 「今度は高岡漆器との商品開発だね」。黒川雅之氏は東京六本木のAXIS(アクシス)で、漆器組合の人たちにこう話された。黒川氏とはこれまでも組合として何回か会っていたが、漆器についての話しはこれが初めてであった。

 それから数カ月後の平成六年七月、アクシスでの約束どおり黒川氏が高岡漆器の視察のために来高。この夏は、気象台が始まって以来の記録的な暑さが続き、高岡でも毎日のように水銀柱が三十八度以上を指していた。じっとしていても汗が吹き出す日に、職人さんの作る姿や意気込みを実際に見られ、技術の難しさや複雑な工程に驚かれた。

 黒川氏は、額から流れる汗を拭いながら精力的に四つの工場に足を運び、工程毎に商品を手に取り丹念に見られた。また、漆器の商品開発は今回が初めてということから質問も数多く飛び交った。手作業ゆえの無駄の多さには「これではだめだ」と、のっけから厳しい言葉も飛びだした。この時、黒川氏は「一番売れているものは何かね」と問いかけ、「盆ですちゃ」という職人からの返事に「それでは盆で行こう」と、その場で開発する商品が決まった。

 「一つや二つではデザインにならない、いくつほどデザインすればよいか」との問いに、天野隆久理事長は「いくつでも」と返答した。

 それから一カ月後、黒川氏から盆のデザインが届く。黒川建築設計事務所が、何日も徹夜して仕上げたデザインで、そのプランは何と百点を超えていた。それから二週間後に黒川氏が再び来高され、この時には、漆器の木地を全部作っていたので「まさか、ここまでできているとは…」と、とても感激された。

 その時に高岡漆器の木地・塗り・貝・彫りの特徴を改めて説明した。色々検討を重ねて商品開発のテーマは「百の盆」に決まる。その後、実際に製作を進めるにつれて、色々なアイデアやパターンが新たに出てきて、デザインの引き直しや加飾・色・大きさなどが訂正・追加されていった。

 こうして、今までの高岡漆器の価格帯を前提として、市場性を最優先させた新しいデザインの商品が作られた。そして、平成七年三月に東京銀座の松屋デザインギャラリーに於いて発表し、各方面から大いに注目を浴びた。

BACK<


| 入口 | 索引 | 高岡漆物語 | 代表的な技法 | 組合の紹介 | ギャラリー | ニュース |